三月生まれの生存戦略

Twitterで言えないこと書きます。3月生まれで苦しむ子羊たちの先導者になります。

書評 落合陽一『日本再興戦略』

 

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えー、大した知識も見解もない自分の書評です。

 

今回は、落合陽一氏の「日本再興戦略」

 

落合陽一氏の説明はまあしなくてもいいでしょう。私自身把握していませんし。

 

まあ、本の中身についてですが、

まず、前半部分は日本の分析でそのあとは政策を延べてます。

 

その分析から見てみましょう。

 

まず、落合氏は日本の高度経済成長を三つの要因から生まれたものだとし、それは

「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」の三つだとあげています。

国民に均一な教育を与えた上で住宅ローンにより家計のお金の自由を奪いマスメディアによる世論操作で需要を喚起していくという戦略らしい。

今の現状でこの戦略をすると一人当たり生産性は低下する、機械親和性が低いので。

とのこと。

 

別に私は高度経済成長の時に日本がどうだったかは生きていないので知らないのだけど、(それは落合氏も一緒か)正直この分析はイマイチ理解できない。

高度経済成長の道理は色々言われているが、私の考えを述べよう。

まず、戦後という特殊な状況を考えなければならない。

戦争によって生産設備、資産などが破壊されたわけだ。これは供給能力の消失である。

そして戦争が終わり平和になり人も帰ってきて需要が増加する。

ある経済学者は「格差解消は戦争によって起こる」と言った。

需要が供給よりも高ければ企業は投資を行い生産設備を増加、人材投資を行い生産性を高める。また戦争により向上された科学技術を民間に転移されたことによる技術力の強化も忘れてはならない、電子レンジやGPSなどがそうだ。

また高度経済成長期では失業率1.5%の人手不足。

この人手不足がさらなる生産性向上を生むのだが、それと同時に企業は社員を離さないように福祉を充実させた。

終身雇用という制度が生まれたわけだ。

またインフラ整備も行われた。国道や新幹線などを建設した。

都市と都市を結び経済活性化を生み出す。

公共投資が生むメリットは大きいし、これは地域活性化にもつながる。

人がいるから道を作るのではなく、道が作られたから人が住み始めるのだ。

シムシティやってこい

今の日本のインフラ整備はまだ足りない。

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財源がどうこういう奴は俺の記事を見直せ

 

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「均一な教育」とあるがこれは日本人の勤勉さについてなのだろうけども、勤勉かどうかなんて成長要因ではない。むしろ諸刃の剣となり低賃金でも真面目に働く人間ばかりが溢れて労働者の立場を低くしているだけにしか感じられない。

また「住宅ローンで家計のお金の自由を奪う」という表現はおかしい。

自由に使えるお金があったから住宅ローンという個人の投資を生み出したのだ。

マスメディアによる宣伝とあるが、需要過多なのだからモノは当然売れる。

需要過多経済であればそれこそセイの法則のように、モノは作れば作るほど売れ、人は働けば働くほど儲かるのだ。

 

しかし今は供給過多だ。モノは作っても売れないので値下げする。

需要すなわり購買力不足なのが今の日本経済を停滞させている要因であり、需要を作り出すことが停滞から脱出する方法なのだが。

 

しかし、落合氏の「欧米」を幻想だとして日本独自の戦略を生み出そうとする姿勢には賛成だ。

 日本の今の制度、大学、法、システムといったモノは欧米や欧州などのいいとこ取りである、しかし時代にそぐわないと指摘している。

この辺は検証してみないとなんとも言えぬ。だが、現に黒船としてやってきているのは確かだ。例えばサッチャリズムなんてのは日本にやってきてその背景が色濃くなっているのは現状からもみて取れる。

日本に輸入された欧州式の概念で日本人に合わないもの(単に日本人が解釈違いを起こしているということなのだが)が二つある。

『公平と平等』『個人』だそうだ。

日本人には平等意識がないとし、公平にこだわる。

まあ、このことは良いだろう。特にいうことはない。

 

江戸時代、いやそれ以上前から「イエ」という制度?概念?システム?があったのに日本は自分から依存を断ち、個人の意味を理解してないまま個人を目指し孤立感だけが残った。

西洋的個人という概念を乗り越える必要がある。

 これに対して落合氏は個人という考え方をやめ、コミュニティの利益を考えて意思決定するべきと論じました。

 

この『個人』については私自身も思うことがあり、まあいつか記事で書くかもしれん。

共同体の話についてゲンロン0という本をお勧めします。

個人思想の脱却は必要だと思います。

 

ちなみにここまででまだ第1章も終わっていません。

第7章まであるわけですが、いちいち指摘していたら年を越してしまうので、ここからそれぞれの章で自分が共感した部分だけピックアップします。

 

「今の日本人はお金を過度に気にするあまり、大きな自己矛盾を抱えています。今の日本が持っている『内なる拝金主義』は大きな問題です。ここから抜け出さない限り、土農工商などの、『価値を中心としたパラダイム』には戻れません。今のままでは、土農工商の逆の商工農土になってしまいます。」

マスメディアによる操作によって拝金主義が蔓延しているとし、学生の金融機関への就職希望が多いのもこのためと。

まあ、金融機関は今は地獄なのだが、その説明はいいか・・・また長くなるので。

拝金主義が蔓延していることは否定しない。事実だ。

世の中の問題の多くは金によるものだから拝金主義が蔓延していると思うが、別にマスメディアの洗脳も否定しない。

そもそも貨幣とは負債であr・・・いやこの説明もいいか。。。

金不足の世の中なのである。いやデフレだからそうなんだけど、お金の価値は上がっていくのでモノよりも金を欲する。高度経済成長期は当然インフレ世界だからローンして実物資産を購入する方が得だから。住宅ローンはここで取り上げるべきでは。

まあ、貨幣量を増やすことが必要なのだが、財政再建とかのバカなことして増税してマネーストックの増加率を鈍化させているのだからまあ、この辺の話も俺の記事見てねとしか言いようがないのだが・・・

 

第3章はテクノロジーでこうなるよと言うお話。

理想的な話で夢があると思います。現実がそうやって合理的に変わるかどうかは議論の余地があるでしょうか、そのようなことは指摘しないでおきます。

 

第4章から政策的な話になります。

人口減少、高齢化がチャンスだと述べており、三つあるのですが、単純に言うと機械化の導入がスムーズに行えるとのこと。

これに関しては私もそう思います。

極論を言うと人口増加していたら自動ドアなんていりません。ドアに開ける人を立たせればいいだけですから。いわゆるドアマン。少し意味違うけど

しかし人手が足りないとすれば機械化が進むはずです。はずだったが・・・

移民政策とか始めたのでそれすらもね・・・

機械化が進むと人口増加社会では労働者が隅に追いやられ圧迫されてラッダイト運動に繋がったり。

また高度経済成長期も人手不足だったからこそ、機械化や福利厚生の充実により一億総中流社会になれたわけです。

日本人はなぜか人口減少をデメリットとして捉えがちです。

経団連は人手不足が問題と言いますが老害の戯言をきく意味はありません。

人手不足は過去記事で書きました。

そもそも人手不足なら賃金は上昇するのです。しかし上がっておらず、最低賃金で募集してるくせに人手不足とかいいやがるので。

 

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また若者の負担がとか言いますが、若者が負担するのは生産性の話です。

金ではありません。

人口増加万能論者の言い分に

「高齢者の介護のために政府支出は増加し財政支出の増加を支えるために多くの税金が必要だ。そのしわ寄せは現役世代に降りかかる」

これは真っ向から否定せねばならない。

私はすでに記事で政府の支払い限界等の話は書いてあるし、それを読んでほしい

 

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 これらを読めば高齢化問題はお金ではなく実物資源や生産性の問題であるということがわかる。

そもそも通貨発行主体の政府にとって政府支出とは通貨発行でしかなく、民間の預金創造でしかない。そもそも政府支出の際の日銀当座預金と我々民間経済で循環する現金預金は全く別の貨幣=負債である。

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あとの章は各自で読んでください。

全て描き起こすのもあれなので。

 

 

 

全体を通して読んでみて思ったのは一貫性がないこと。

言葉、キーワードなどの羅列で何も知識がない人から見れば突っかからずに読めるのだろうが、私から見れば整合性や論拠に欠けるものが多く分析も結論ありきで述べている部分も多い。

 

それぞれのテーマごとに一冊にまとめるべきであり、この本はバラバラなジグソーパズルを並べた代物のようなもの。

扱うテーマの大きさに対して情報量が少ない。補完して読めということなのかもしれないが、それだと結論の部分に納得がいかなくなる。論証から結論にかけての細部に緻密さが足りないとも言える。つまり一言で言うと浅い。

すいません。言い過ぎましたアンチでもないし彼の活動は応援している立場故の反駁として受け取ってください。

 

日本再興に当たって思想や主義のアップデートが必要なわけですが、今の日本の主問題は、と言うか拝金主義にしろ、何にしろ、長期停滞によるものだと私は考えているのでまずそこから抜け出してから思想のアップデートな気がします。

順序の問題であり、政策や理論に関しては全面的に非難はしない立場です。

優秀な人間はこの列島から抜け出している中、落合氏は向き合っているだけまだ良いと捉えています。落合氏の憂国の情が感じられる一冊なので読んでも損はないと思います。