三月生まれの生存戦略

Twitterで言えないこと書きます。3月生まれで苦しむ子羊たちの先導者になります。

コロナと経済成長

 

憂鬱なタイトルだがそうとしか言いようがない。感染症との闘いでよく言われるのが経済と感染防止のトレードオフだ。感染者がいくら増えようがもう自粛要請などは出す気はないだろう。

 

個人的には「新しい生活様式」だとか「withコロナ」などの言葉はきらいだ。キモさがある。

 

 

 

そもそも、感染症の流行前からこの国は経済など見捨てていただろう。人命よりも経済を優先する国が消費増税などやらないだろう。GDPの6割を個人消費が占めるこの国で。

 

そもそもこの国は30年間、経済は停滞したままである。

 

 

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(画像は政府統計の総合窓口から作成)

(ネットから拾って来ようと思ったけどやめた)

 

GDPがほぼまっすぐなのがわかる。

 

成長率2%の目標すら達成できていない。

 

GDP三面等価の原則から生産=消費=所得が成り立つ。事後的に見ればの話しだが。

 

つまり、マクロ的に言えば、30年間、所得も消費も生産も変わっていないのだ。

 

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(一応折れ線グラフも)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高度経済成長は何処へ

高度経済成長はなぜ起きたのか理論ベースで説明するならレギュラシオン理論が最適であろう。

 

 

経済社会に対するレギュラシオン理論の基礎的な見方は「レギュラシオン」(調整)の語に要約されている.すなわち,資本主義や市場経済は本質的に安定しているわけでもなく(新古典派批判),逆に本質的に崩壊の危機にあるのでもなく(マルクス派批判),それがうまく調整されれば安定・成長し,そうでなければ危機に陥ると見るのがレギュラシオンの見方である.資本主義は大いなる変化と革新をもたらす原動力であるが,しかしその変化をコントロールする力は資本主義自体のうちには備わっておらず,しばしば暴走し社会を危機的状況に陥れる.それゆえ経済社会の安定・成長のためには,資本主義は社会や諸制度の側から調整されなければならない.このように市場経済の自己均衡化論でもなく,資本主義の自動崩壊論でもなく,レギュラシオン理論は資本主義の社会的調整という基礎視角に立つ

MLA (Modern Language Assoc.)
進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

APA (American Psychological Assoc.)
進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.

 

 

レギュラシオン理論は、高度経済成長期が終了しスタグフレーションが発生した1970年ごろ生まれた理論である。

 

高度経済成長がなぜ可能であったのかの答えは「フォーディズムの成長と危機」の一言である。

 

フォーディズム論の要点は,市場経済の自然的結果や国家の経済的介入の成果としてでなく,戦後的な新しい蓄積体制と調整様式の形成の結果として,またその背後にある新しい制度諸形態(とりわけ賃労働関係における団体交渉制度など)の成立の結果として,戦後的成長を捉える点にある.すなわち戦後先進諸国には,生産性上昇が賃金上昇に連動し,それが消費と投資を刺激して総需要成長(経済成長)を喚起し,また投資や経済成長それ自身が再び生産性上昇を生み出すというようなマクロ経済的回路(蓄積体制)が成立した.あるいは生産性上昇と経済成長の間に累積的因果連関が形成されて高度成長が実現した.そして他の歴史的時代と異なって,この蓄積体制に特徴的かつ核心的な経路は「生産性上昇→賃金上昇」と「需要成長→生産性上昇」である

MLA (Modern Language Assoc.)
進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

APA (American Psychological Assoc.)
進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.

 

 

フォーディズム - Fordism - JapaneseClass.jp

 

 前者の背後には経営者による「生産性インデックス賃金」の提供という新しい賃金原則があり,また後者は量産効果を意味するが,それは労働者による「テーラー主義」的労働の受容に支えられていた.賃金は競争的・市場的賃金から契約的・制度的賃金となり,これに応じてそれまで労働側によって拒否されていたテーラー主義が広く各部門に浸透していった.戦後期,「団体交渉」という新しい制度が形成され,これを媒介として労使間に「生産性インデックス賃金 対 テーラー主義」という取引(妥協)が成立し,それがゲームのルールとなって,かの蓄積体制を先導し調整したのであった.要するに,生産性インデックス賃金 対 テーラー主義という労使妥協によって調整された大量生産–大量消費(生産性上昇と需要成長)の蓄積体制,これがフォーディズムであり,戦後的成長の秘密であり構図であった

MLA (Modern Language Assoc.)
進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

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進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.



フォーディズムは1960年代末ないし1970年代以降,危機に陥る.フォーディズムの蓄積体制も調整様式もともども麻痺し,大危機(構造的危機)に陥った.すなわち,テーラー原理の追求による労働の単純化・単調化は労働者の病気や反抗をもたらし,工業化や完全雇用政策の成功による都市化や完全雇用は「賃金爆発」をもたらし,かの労使妥協を崩壊させ,またマクロ的好循環の構図を瓦解させたのであった.つまりフォーディズムは,その成功ゆえに危機に陥ったのであり,その現れが1970年代の激動であった.オイル・ショックはこの危機を倍加させはしたが,危機の真因ではなく,真因はもっと深くフォーディズム的な生産性や分配・需要の体制の枯渇のうちに存在した.危機のなか1970~80年代には,フォーディズム以後をめぐる各種の試みが世界で展開された.そのなかでこの時代,スウェーデン・モデルや日本モデルの目覚しい躍進とアメリカ経済の凋落が世間の注目を浴びた.これを分析すべくレギュラシオン理論は,ボルボイズム(社会民主主義型),トヨティズム(企業主導型),ネオ・フォーディズム(市場主導型)といったように,アフター・フォーディズムにおける「国民的軌道の分岐」に注目することになった

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進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

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進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.

 

やがて1990年代になると,日本(および一時的ながらスウェーデン)はバブル崩壊で停滞する一方,アメリカは「ニュー・エコノミー」的な復活をとげた.復活したアメリカ経済は,しかしもはやフォーディズム的工業のアメリカでなく,ITと金融を中心としてグローバリゼーションを推進するアメリカであった.1990年代の世界は,1950~60年代からは明らかに歴史の舞台が一回転し,新しい歴史的時代への突入を感じさせるものであった.レギュラシオン理論にとって,これは「フォーディズム」と「賃労働関係」を事実上の中心に置いてきた従来の方法視点の再検討を迫るものであった.ここにおいてレギュラシオン理論は「制度階層性とその逆転」という認識に到達する.すなわち戦後期にあっては労使を中心とする国民的妥協こそが最も重要な制度領域をなし,これに規定されて競争形態(寡占競争)や国家形態(ケインズ=ベバリッジ型国家)が制度化され,さらにそれらに適合した国際体制(IMF/GATT体制)が形成された.賃労働関係が制度階層性の頂点をなしていたわけである.これに対して1990年代以降は,世界マネーフロー(株主価値)という形をとる国際金融体制が制度的頂点をなし,これに規定されて国家形態(小さな政府,福祉削減)や賃労働関係(労働のフレキシブル化)が成型されるようになった.階層的上位の制度は賃労働関係から国際金融体制へと逆転したのである.したがって1990年代以降の経済分析においては,国際体制や金融体制にこそ最初の焦点を当てなければならない.こうしてグローバリズムを先導するアメリカ経済が,「金融主導型成長体制」(ボワイエ)ないし「資産的成長体制」(アグリエッタ)として分析される.レギュラシオン理論の手法に従うならば,その蓄積体制(成長体制)と調整様式が確定されるべきである.蓄積体制としては,株価→金融収益→消費および株価→投資という回路を通って総需要が刺激され,それが企業利潤を拡大し,そして高い利潤期待が再び株価を押し上げるという構図が摘出されている.いまや生産性上昇に代わって株価上昇が起動力をなし,これが最終的に経済成長につながるという経済である.これを支える調整様式とは,要するに株価上昇を高い金融収益へと連動させる制度装置であり,世に「コーポレート・ガバナンス」と呼ばれるものがそれである.こうした金融主導型経済の可能性と現実性はしかしアメリカ(せいぜいイギリス)にしかなく,他のOECD諸国には成立しがたいことも指摘されている

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進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

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進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.



 

金融とITのアメリカは「グローバル・スタンダード」の名の下,自国型の制度・システムへの世界各国の収斂を要請し,またそれが不可避であると宣伝する.はたして世界(さしあたりOECD諸国)は,アメリカ型資本主義に収斂しているのか.そしてそれは歴史の必然なのか.1990年代,こうした収斂論への批判はレギュラシオン理論の外でも多彩に繰りひろげられた.M.アルベール『資本主義対資本主義』(1991)に見るネオ・アメリカ型とライン型,P.ホール/D.ソスキスのLMEs(自由な市場経済)とCMEs(コーディネートされた市場経済),比較制度分析(青木昌彦)でのA企業とJ企業の対比などがその代表である.最後のものは日米対比,最初の二つは独米対比が中心をなす.しかし,いわゆるOECD諸国に限ったところで,各国を2類型に分類して事足りるのだろうか.何らか先験的な分類基準でなく,経済の基軸領域と主要領域を包括するような類型化は不可能なのか.しかも理論的分類のみならず,統計資料に基づく実証を踏まえた分類が必要である.近年のレギュラシオン理論はこうした観点から,「資本主義の多様性」論(比較経済システム論)を精力的に展開してきた.その最高の成果がアマーブルの『五つの資本主義』である.ここにおいてアマーブルは,製品市場競争,賃労働関係,金融システム,社会保障,教育システムの5領域にわたるOECD資料の分析のなかから,5類型の資本主義を抽出した.すなわち「市場ベース型」(米英加豪),「アジア型」(日韓),「大陸欧州型」(独仏蘭墺ほか),「社会民主主義型」(北欧諸国),「地中海型」(伊西葡希)である.それによって通念の再検討が促される.すなわち,(1)アングロサクソン諸国は「自由な市場経済」(LMEs)としてまとまっているが,その他諸国を「コーディネートされた市場経済」(CMEs)として一括するには無理がある.(2)市場の自由化という点でアメリカ型の対極をなすのは,ドイツでも日本でもなく地中海型諸国(規制的市場)である.(3)福祉国家という点で北欧諸国の対極をなすのは,アメリカ型ではなくアジア型である.最終的にアマーブルは,(1)高い経済パフォーマンスをもたらすのは,市場ベース型のみならずその他の型でも可能なこと,(2)1990年代の最初と最後の時点で諸類型を比較検証してみるとき,市場ベース型への収斂どころか,類型の多様化が見られることを摘出する.つまりはアメリカ型への収斂は確認されないし,アメリカ型のみが「優秀」なわけでないのである.フォーディズム分析から出発して30年,レギュラシオン理論は現在,こうした多様性論からするグローバリズム批判へと進化を遂げつつある

MLA (Modern Language Assoc.)
進化経済学会. 進化経済学ハンドブック : Handbook of Evolutionary Economics. Vol. 初版, 共立出版, 2006.

APA (American Psychological Assoc.)
進化経済学会. (2006). 進化経済学ハンドブック : Handbook of evolutionary economics: Vol. 初版. 共立出版.


 

レギュラシオン論からすれば今回のコロナ危機は大危機にあたる、これはシュンペーターのいうようなコンドラチェフ循環の谷に近い。

この場合、従来の蓄積体制、調整様式の限界が訪れたともとらえられる。

 

したがって大危機とともに発展様式は進化していくのであり、これが資本主義の歴史を形成する。

 

 

従来のオフィス産業はテレワークへと移行し、人との接触は避けられるようになる。これは機械化(IT化)の流れを作り出している。電子マネーもメリットの一つに感染症対策があるわけである。無人レジなども増えるかもしれない。

 

 

個人的見解だが、テレワーク推進についていうことはないが、しかしテレワークというのは基本的に生産性が下がる。

 

https://digitalcommons.ilr.cornell.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1087&context=chrr

 

こういう論文もある。

 

テレワークを進めてたIBM社も撤退したりと、、、

 

GAFAなどはオフィス充実に力を入れてきたりとした背景がある。

 

アメリカではすでに縮小!?海外と日本のテレワーク事情 | たむらしごと。 ~ 福島県田村地域の働き方情報サイト ~

 

 テレワーク先進国であるアメリカでは、近年「テレワーク廃止」の動きが拡大しています。
1990年代からテレワークを導入してきたIBMも2017年5月に同勤務形態の廃止を宣言。その他アメリカを代表するグーグルやアップルなどの大手企業もテレワーク導入には積極的ではないというから驚きです。
この傾向の理由としてとして挙げられるのが、テレワークによる「コミュニケーション・チームワークの不足」
アメリカ人の気質とテレワークの相性は悪くなく、生産性も上がっていた一方で、コミュニケーション不足による社員同士の刺激を受け合いや協力体制を築く機会が減ってしまったという現実も。この事態を深刻に捉えた結果が、現在のアメリカの「テレワーク縮小の動き」につながっています。

 

コミュニケーション問題は、テレビ通話だけでは解決できない部分もあるだろう。

 

ヨーロッパなども労働者の交渉力が高いからなのか労働時間短縮などオフィスワークに力をいれてる次第

 

とはいえ、日本の東京というレアケースで考えた場合、満員列車の解消などプラスの面も大きいだろう。しかしそれはあくまでレアケースと考えるべきである。

 

新しい生活様式という言葉が嫌いなのは、その生活様式はコロナのことしか考えていないからだ。

コロナとは不確実性の一角に過ぎない。社会の持つ不安定性には対応できないはおろか、より脆弱なものなりうる恐れがある。

 

いや、そんなことをいえばこの国は数十年にわたりその基盤を壊してきたわけだが。