前回で私は貨幣とは負債であると説明しました。
今回はより発展的な中身について言及していきます。
貨幣は負債である、それはつまり貨幣を発行すると負債も増えることを意味する。
貨幣を発行すると誰が負債を負うのか、それは日本銀行であり、また日本銀行の株式は政府が55%保有している。つまり政府の子会社であるわけだ。統合政府といって、政府と日本銀行のバランスシートを連結して決済する。その場合、政府の負債は変化する。
最初に誤解を解くために行っておくが日本の借金1200兆円は政府の負債である。
そのうち960兆円ほどが国債である。その国債保有率を見てみよう。
国債のうち量的緩和政策によって市中銀行から国債を買い取りまくったので日本銀行が40%も国債を保有している事になる。つまり連結決算で考えた場合、日銀が保有する国債分は打ち消されるのだ。また日銀が保有している国債には実質的に返済、利払いの負担がない。
それは有利子の国債から無利子の日本銀行券に転換されるからだ。
そのプロセスを見てみよう。
銀行(日本銀行でなく普通の銀行)が国債を購入すると銀行保有の日銀当座預金は、政府が開設する日銀当座預金勘定に振り返られる。
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政府は、例えば公共事業の発注にあたり、請負企業に政府小切手によってその代金を支払う。
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企業は、政府小切手を自己の取引銀行に持ち込み、代金の取り立てを依頼する。
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取り立てを依頼された銀行は、それに相当する金額を企業の口座に記帳する。(ここでマネーストックの拡大、つまり民間預金が生まれる)それと同時に、代金の取り立てを日本銀行に依頼する。
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この結果、政府保有の日銀当座預金(国債の銀行への売却で生まれたもの)が、
銀行が開設する日銀当座預金勘定に振り返られる。つまり日銀当座預金が戻ってくる。
銀行は戻ってきた日銀当座預金で再び新規発行国債を購入することができる。
これが国債発行のプロセスです。ちなみに日銀当座預金は政府、日本銀行、銀行しか持てない口座であり、民間では持てません。
ここで大きなポイントがいくつかあります。
まず民間預金で国債が購入されていないこと。
そして貸し出しによって預金が生まれるということ
そう銀行は預金を集めて資金にして貸し出しするのではありません。
銀行は、借り手の預金口座に金額を記帳するだけでその金額の預金を生み出すことができる。
これを信用創造と言います。
つまり銀行の貸し出しの限界は資金量ではなく借り手の返済能力に依存します。
ここで老後資産2000万問題についてはなしときます。
老後は国に頼らず2000万貯金してね。という話なのですが、この貯金してね自体がとんでもないデフレ化なのですがそれは置いておき、1億人が2000万貯金した場合、2000兆円必要なわけですが、その2000兆円の預金をどうやって作り出すかです。さっきも言ったように預金とは誰かが借りなければ生まれません。つまり2000兆円誰が借りるのか、デフレ下で民間の投資額は減ってきています、今日本はデフレなので需要不足です。民間が借りるわけがないのに一体誰が借りられるのでしょうか。
そう、政府しかありません。政府が国債を2000兆円発行しろと言ってるのです。
でなければ、2000万をやりくりしろなんてできません。貨幣供給量は増えていないのだから。
国の財政がやばいからー年金破綻だの騒いでるバカはこの辺の原理を知らずに財政破綻論を唱えています。
次の記事でより詳しく財政に何も問題なく財政再建が終わってることを書きます。
マネタリーベースについて
マネタリーベースとは現金通貨と準備預金の合計のことです。
そして今の金融政策は量的緩和と言ってこのマネタリーベースの量を増やし、銀行の準備預金を増やし貸し出ししやすくすると言った政策なのですが、さっきの信用創造の話のとおり、貸し手側の資金量ではなく、借り手側の資金需要がない限り貸し出しは行われません。
貨幣供給量は増えるはずがないのです。
当然、インフレにならず、デフレから脱却できません。
民間の資金需要を増やすことが大切なのであり、それが真の経済政策なわけです。
日本銀行はこの6年で300兆円ほどマネタリーベースを膨らませたが一向に物価は上がらずインフレなど起きない。ハイパーインフレが起こるなど言ってた連中はどこへ行ったのでしょうか?