三月生まれの生存戦略

Twitterで言えないこと書きます

統合政府の見方は正しいのか?

 

 

 

 

政府紙幣は国家権力 に より政府 の購買手段 と して流通 に投 じられ る (その典型が軍票)。 これ に対 して中央銀 行券 を含 む銀行券 は金融取引 を通 じて しか、流通 に投 じられる ことはない。この点が両者 を区別す る重要 な特色であ る。金融取引 を通 じて しか、 とい うことは誰 かが負債 を負 うこ とによって しか、の意味 であ るか ら、銀行 券 の発 行者 はその よ うな負債 を債 権 として、 自らの負債(銀行 券) と交換 に取得 し、 リスクを負 うのであ る。 これ は相手方 の預 金口座に記帳す ることによって貸出 しを行 な う預金銀行 の信用創造 と本 質的には同様で ある。政府紙幣の場合 にはその弁済可能性 は徴税権 に よっているが、銀行券の場合 は発行の原因 となった債権の返済可能性 に依存 するのであって、預金銀行 の場合 と同様であ る。 中央銀行 による国債 の引 き受 けが 禁止 されるの も、 それが事実上銀行券 を政府紙幣化す る途である ことが感 知 されているか らといえるであろう。このように銀行券発行が本来的 に国家の専権 である とい うようなこ とはないのである。金属貨幣の場合 も国家の行 なった ことは呼称の付与 と重量 品質の保証 に過 ぎず (ハ イエ ク)、国家 の登場以前 か ら経済過程 の中で貨幣 と して存在していたのである

MLA (Modern Language Assoc.)
吉田暁. 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社, 2002.

APA (American Psychological Assoc.)
吉田暁. (2002). 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社.

 

(1)銀行券は中央銀行 の債務証書 であ り、信用通貨 に他 な らない。

(2) (管理通貨制移行後 は異 なるとい う説に対 して) 中央銀行 が債務証書 を発行 する とい う意 味での銀行券発行 の本 質は何等変更 され てい ない。

(3)国家が本来的 に保有 す ると称せ られる通 貨 に関す る大権 とは貨幣 を鋳造 し流通せ しめ、貨 幣の本位 及 び価格 の単 位 を定め、或 は平価 を決定する等 の権 限を意味 している。

(4) (保証発行は行政権 の行使 である との所説 に対 して)金準備 を引当 てに行 われ る銀行券の発行 と、保 証物件 を引 当てに行われ る銀行券 の発行 とは、銀行券の発行行為それ 自体 と しては何等 本質的な差別 は存 しない。

(5) (法律 に よる保証発行 限度 の決定 は、 中央銀行が万一支払不能 に陥 った場合) 国民経 済 に与 える影響 が余 りに大 きいため、国家がそ の限度 決定に規制 を加え よう とした行為 ...... に他 な らない。之 をた とえれば、預 金銀行 が幾何 を預金の支払準備 に充当す るか は本 来的 には自由であるが、若 し支払不 能に陥 るこ とが あれば極め て重大 である と国家が考 え、その準備率 を法 的に規 制 しよう とす る場合 と、法律 的性格 は全 く同様 である。

(6)管理通貨制度 の もとにおい て、 しか も銀 行券発行 の大 部分 が国債 を見 返 り と して い る場 合、 銀 行 券 発 行 は政 府 紙 幣 の 発 行 と法 律 的 に も同 じ性質 の行 為 で は な い か との 説 もあ るが 、 こ れ も誤 りで あ る。 銀 行 券 の 発 行は信 用 に基 づ く もの で あ り、 政 府 紙 幣 の発 行 は 強 権 即 ち行 政 権 に 基 づ いて い る。

(7) 以 上 の 検 討 に よっ て 、 銀 行 券 の発 行 が 行 政 行 為 で は な く、 本 質 的 に ビジネ ス で あ る こ とは 明 らか で あ ろ う

MLA (Modern Language Assoc.)
吉田暁. 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社, 2002.

APA (American Psychological Assoc.)
吉田暁. (2002). 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社.

 

金融 政 策 が 一 国 の経 済 諸 政 策 の 中で 最 も重 要 な もの の 一 つ で あ る こ とは 疑 い得 な い 。 しか し、金 融 政 策 は 中央 銀 行 の 業 務 を通 じて 遂行 され る が 、 発 券 を含む 中央 銀 行 の業 務 に は行 政 (権 力 ) 的 要 素 は ない とい って 差 し支 えな い 。 中 央銀 行 の独 立 性 の最 大 の根 拠 は こ こ にあ るの で は ない か と、 私 は考 え る。 中 央 銀行 は 「銀 行 の銀 行 」 と して、 金 融 の論 理 に したが って 行 動 す る こ と を基 本 とすべ きで あ る 。物 価 安 定 が そ の 中心 的課 題 と な るの も、 自 らの 債 務 (国 民 の 側 からい え ば資 産) を一 国 の通 貨 体 系 の基 軸 と して い る こ とか ら生 じる当 然 の 義 務と考 え られ る 。 イ ン フ レに よっ て 自 らの債 務 を減 価 させ る こ とが 許 され て よいは ず は ない 。

MLA (Modern Language Assoc.)
吉田暁. 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社, 2002.

APA (American Psychological Assoc.)
吉田暁. (2002). 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社.

 

 

発 券独 占 を中心 とす る そ の特 異 な地 位 お よ び国 民 経 済 に与 え る影 響力 の 大 き さか らい っ て 、 中央 銀 行 は 国民 的 監 視 (国 会 の 機 能 ) の 下 に置 か れ なけ れ ば な らな い 。 しか し国 会 に よる監 視 とい っ て もそ れ は行 政 機 構 の 場 合 と は意 味 合 い を異 にす る(11)。行 政 一 般 あ る い は 行 政 機 構 に よ る諸 政 策 は 、 ほ と んどす べ て が 権 力 の発 動 と して 、 国民 の権 利 義 務 関係 に直 接 影 響 す る。 だか ら こそ 国 民 の 代 表 (国 会 ) の 制 定 し た 法 に 基 づ い て 執 行 さ れ な け れ ば な ら な い 。こ の 点 が 市 場 で の 取 引 を 通 ず る 金 融 政 策 と の 違 い で あ る 。 先 述 のA.Blinderの よ う に 、 金 融 政 策 と 租 税 政 策 を 同 列 視 す る 見 方 に は 賛 成 で き な い 。 租 税 こ そは む き 出 し の 権 力 の 発 動 で あ り 、 国 会 の 最 重 要 課 題 だ か ら で あ る 。 も ち ろ ん 国会 が 税 制 を 考 え る 際 に 長 期 的 視 点 に 立 っ て 専 門 家 の 意 見 等 を 参 酌 し て 立 法 す るこ と は 望 ま し い が 、 そ れ と こ れ と は 別 問 題 で あ る 。今 次 日 銀 法 改 正 に つ い て は 不 十 分 な 点 が 多 々 あ る に せ よ 、 日 本 銀 行 を 基 本 的に 行 政 機 構 の 一 員 と は 認 め な か っ た 点 を 、 そ の 理 由 が 奈 辺 に あ っ た に せ よ 、 評価 し た い 。

MLA (Modern Language Assoc.)
吉田暁. 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社, 2002.

APA (American Psychological Assoc.)
吉田暁. (2002). 決済システムと銀行・中央銀行. 日本経済評論社.