自分は今19歳ですが、自分が年金を貰うのは数十年後であり杞憂なのですが年金制度は破綻してる!や年金は尽きるとか、財政破綻などで溢れ返っていてこのノイズを消すためにも年金問題を考察します。
年金2000万問題とか、年金破綻とかでよく話題になっていますが本当に今の若者は年金が貰えないのか検証していきます。
- 財政赤字は問題なのか
- 国債の発行プロセス
- そもそも貨幣とは負債である
- 政府赤字は別の部門での黒字
- なぜ政府は徴税するのか
- 政府支出が先
- 貨幣量の増大はインフレを招くのか
- デフォルト(債務不履行)の可能性
- 年金問題の何が問題なのか
- 高齢化問題の真の問題
そもそもまず日本財政について話していきましょうか。
ちなみに私の経済理論はポストケインジアンに基づくものです。
主流派と呼ばれているニューケインジアンとは違います。なのでマクロ経済学の教科書で述べていることとは違います。マンキューやスティグリッツの入門経済学の内容とはずれていますし、ハイエクからのフリードマンの自由市場主義のシカゴ学派とも違います。ノイマンとかナッシュのゲーム理論は紹介しませんし、そもそもミクロ経済学です。
ニューケインズは、現実的にありえない状況を仮定(例えばマーシャルのKが一定であるとか)としておき数式としてわかりやすくしモデルとして提示し、政策の効果の可能性を示す。
ポストケインズは現実で起きていることから分析し理論を組み立てる。
そのため数式などを必要をしないし、(そもそも人間の消費行動や、銀行の貸し出しなどを数式化は不可能。銀行が金を貸すときに、相手の返済能力や資金需要を数式で表せるか?また為替の動きを捉える数式モデルがないことがいい例。複雑すぎて表せないのだ。)モデルなども、ストックフローコンシステントモデルくらい?カレツキモデルも含めていいのかわからない。
そのほかも貨幣供給は内生的か外生的かなど。
それでは本題に入ろう。
https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=GGXCNL&c1=JP&s=&e=
画像は財務省のHPから。
このようにして、政府債務は拡大し続けています。しかし、どこの国も(アメリカも中国もドイツやイギリスも)政府債務は増え続けています。
中国に至ってはとんでもない速度で債務を増やしておりますが、破綻など聞いたことがありません。
これはどこの国も同様で政府が財政赤字は普通のことです。
しかし、増え続けるのは危険なんじゃないかと思う人もいるでしょうから政府の財政赤字について考えてみましょうか。
財政赤字は問題なのか
よく日本の借金は1100兆円あると言われてますが、1100兆円と聞くと恐ろしいと思いますでしょうが、そもそも日本の借金とはなんなのか。内訳はどうなっているのか、借金というなら貸す人がいるわけだが誰から借りてるのか、考えてみましょう。
日本の借金とは政府の負債のことである。そして負債のほとんどが国債である。自国通貨建ての。
このうち国債は
960兆円ほど。
半分ほど日本銀行が所有していますが、それは量的緩和政策によるもの。ま、これは後で説明します。
まず、日銀保有の国債は相殺されます。また日銀保有の国債の金利は日銀の純資産に計上され純資産は国庫に行きます。そして政府の予算会計に打ち込まれるのでつまり日銀保有の国債に金利の支払いはありません。
所謂日銀理論というやつですが、さらに補足します。
国債とは準備預金で購入されます。
我々の預金、資産が減るわけではありません。
準備預金とは日銀当座預金のことです。
これは政府と日本銀行と金融機関しか保持しておらず、我々が使えるお金ではありません。
我々民間の使えるお金の総額をマネーストックといい、マネーストックに日銀当座預金を加えたものがマネタリーベースといいます。
そしてそもそも国債の売却は財源ではなく金利調整のためだけです。
ちなみに準備預金はばかみたいに積み上がりましたがインフレにはなっていません。
跳ね上がってるのは消費増税によるもの。
赤が準備預金ですが、なぜこんなにも積み上がってるのか?それは量的緩和政策という現在実施されてる経済政策によるものです。
それは民間金融機関の持っている国債という資産を日本銀行が買い取り(日本銀行の当座預金すなわち準備預金で購入)民間金融機関の日本銀行当座預金残高を増やすというものです。
日本は準備預金制度というものを採用しており、銀行が企業に貸し出しを行う際に貸し出す金額の一定の比率の準備預金を持っていなければ貸し出しできません。
つまり、準備預金が増えれば貸し出しできるお金が増えるというわけです。
しかし、貸し出しをしやすくなったところで企業側からすれば借りる理由がなければ貸し出しは増えません。有効需要がなければ企業側は借金するはずがなく経済も活性化されません。
この辺は「流動性の罠」やらの話になるのですが今回は飛ばします。
準備預金は銀行間決済で使用されるものです。
例えば企業Aと企業Bが取引するとして、企業AはA銀行、企業BはB銀行の講座だとしたら、銀行Bと銀行Aも取引しなければいけない。これが銀行間決済。
法人間決済の決済代行等のこと。
その際の銀行間決済で使われるお金が準備預金です。
例えば、月末には企業は決済処理をするので、月の終わりになるにつれて銀行間決済も増えていくので必要なベースマネーも増えてくる。その際に中央銀行は政策金利を指標としてベースマネー供給量を増やす。その後、銀行は余ったベースマネーを貸し出そうとするので金利が下がる。金利が下がるのを防ぐために中央銀行はベースマネーを回収する。
ベースマネーが必要となるのは、マネーサプライが動いた後それに応じてベースマネーが必要に応じて供給されるので、ベースマネーが供給されてマネーサプライが動くわけではない。
つまり、このベースマネーを増加させてもそれが市場マネーに影響を与えるということではない。
それと別の話ですが、日本は世界一の資産保有国というのも忘れず。
国債の発行プロセス
よく勘違いされているのが、国債は民間の資産から購入されているので税と変わらないや、多額の国債を発行するのはクラウディングアウト(民間圧迫)を起こすなど言われおりますが、国債は民間資産を吸い取っているのでしょうか。また発行しすぎると危険なのか見てみましょう。
まず、国債発行のプロセスを紹介します。
新規発行国債の例です。
まず日本政府が国債を発行しA銀行が買い取ります。この時、日本銀行当座預金がA銀行から政府の政府預金へ移動します。A銀行の資産は日本銀行当座預金が減り、同額の保有国債が追加されます。政府は国債という負債が増え、日本銀行当座預金という資産が増えます。
そして政府が支出を行い建設会社の保有しているA銀行の口座に振り込みます。
この時に、政府預金が日本銀行当座預金に振り替えられます。つまり、銀行が国債を購入した時に減った日本銀行当座預金が政府預金からまた日本銀行当座預金に戻るので、日本銀行当座預金は減らず、銀行預金が増えただけです。
つまり、国債が増えた分だけ銀行預金が増えるだけです。
銀行預金を元手に貸し出しされているという考えが誤解の原因でしょう。
そして日本銀行当座預金は政府と金融機関と日本銀行でしか使用できません。
一般企業は日本銀行の口座を持てないので。
ちなみに、増えた日銀当座預金を減らすには国債を売却することです。
準備預金が増えすぎると金利は低下します。
コール市場の金利調整として国債は売却されるというのが事実です、
ちなみに統合政府(政府と日銀)からすれば国債も準備預金も負債です。
国債と準備預金の違いは利子があるかないかです。
つまりゼロ金利下であればただの両替に過ぎない。
さて、ここで財政赤字は金利の上昇を起こすのか?について考えましょう。
そもそも貨幣とは負債である
まず、一万円とは原価20円程度の紙切れである。それにどうやって10000という値を付け発行しているのか見る必要がある。
日本銀行にとって『円(日本銀行券)』はバランスシートで負債として勘定される。
これは実務の観点からだけのことでなく、マクロモデルとしても、定義上からも負債以外の何物でもない。
そして民間銀行にとっても預金は負債である。
これは過去記事で詳しく述べています。
実物貨幣すなわち現金というものは預金が一時的に姿を変えただけという考えも組み込んでおくといいでしょう。
その預金は誰かの貸し出しがなければ発生しない(信用創造)、
銀行の貸し出し等の預金で民間資産が増えても銀行に返さなければならないので民間債務も同額で増える。しかし、政府の支出(財政出動)の場合では政府債務であり民間債務は増えずに民間資産は増えるということになる。
言わずもがな、政府と中央銀行が債務不履行に陥るリスクがない、(中央銀行破綻論というデマを流す奴がいるがそれも後の記事で書く)
しかし、民間では破綻リスクはある。
政府赤字は別の部門での黒字
政府は通貨を徴税してから支出をするのではなく、支出してから通貨を発行しそのあと徴税している。
例えばあなたが建国したとして自国通貨をどうやって国民から回収するのか?それは政府が支出という行動で国民にお金を配らなければなりません。でなければ徴税することすらもできないでしょ。そして100億支出したとして徴税で50億回収しました。政府からすれば50億の赤字な訳ですが、残りの50億はどこへ行ったか?それは民間の資産になっているわけです。「政府が通貨を回収してから支出する」ではどこから通貨がやってくるのか曖昧です。
国内民間収支+国内政府収支+海外収支=0
1つの部門が赤字なら他の部門は少なくとも1つは黒字でなければならない。
全てが赤字ということにはならない。
政府が租税収入よりも多く支出した場合、政府の負債が民間部門によって蓄積される。これが政府赤字と呼ばれるものであり、蓄積され政府債務のストックとなるとともに、民間部門の金融資産が同じ額だけ蓄積される。
もし、支出と租税収入を一致させ均衡財政にしたならば民間部門の純金融資産は0になる。
さらに、政府が財政黒字(支出が租税収入より少ない)ならば民間部門の純金融資産はマイナスになる。つまり、民間部門は政府部門の債務を背負ってることになる。
なぜ政府は徴税するのか
政府が予算制約がないのならなぜ徴税する必要があるのか。
これについてはまずなぜ『円』が流通するのかについて話さなければならない。
我々の手にしている野口と諭吉(5000円札誰か忘れた)はその価値を裏付けするものはない。金との交換ももう終わっているし、貴金属との裏付けを必要としていない。金方位性はとっくに終わり我々は法定不換通貨と呼ばれるものに移行している。
では何に裏づけされているのか、それは国家の主権である、そしてその主権によって行使される権限で最も重要なひとつが、租税を課し、徴収する権限なのだ。
租税の支払いにおいて受け取られるのは政府自らの通貨である。
なぜ我々は『円』を受け取るのか?それは『円』が租税などの金銭債務の解消に使えるからである。租税の不払いによって罰せられるのを回避するために納税者は『円』を手に入れる必要があるからだ。
もちろん、『円』は納税以外にも民間の負債も返済できるし、買い物にも利用する。しかし、それらは全て二次的なものであり租税の支払いにおいて自らの通貨を受け取るという政府の意思から派生したものである。
そのため、租税が貨幣を動かすので経済循環において徴税は必要なのである。
またそれ以外にも税は役割がある。
例えば、消費税は消費を抑えインフレ対策になるし、炭素税は二酸化炭素排出の抑制になる。このような経済効果をもたらす機能も税にはある。
またここでの税は広義の意味で政府が回収するものは税なので社会保険料や国民年金も当てはまる。
結論 租税とは貨幣を流通させるための措置である。納税需要が流通の基礎を作る。
川の流れを思い浮かべるとわかるが、河口という出口があり流れるのだ。
納税は貨幣流通の出口である。
政府支出が先
政府は納税つまり集められたお金を元に支出しているとされているが実は違う。
政府支出が先であり、納税は後。政府支出が先に来なければ納税する貨幣を我々が持っているはずがないからだ。
政府支出なければ税金を納めることはできない。
自国通貨建てで支出する能力は財政赤字に制約されない。
これは実務上でもそうなっている。予算案を決めるのは3月。しかしこの時点でいくら納税されているか
貨幣量の増大はインフレを招くのか
ちなみにここでの貨幣量とはマネーストックのことです。マネタリーベースではありません。マネタリーベースはに銀当座預金も含まれます。ここを混同している人が多いです。政府の人間も。
まず、準備預金(MB)の増大ではインフレにならないことは前述しました。
市場に流通する貨幣量すなわちマネーストックが増加するとインフレになるのか?
フィッシャーの交換方程式というのを前提にしているのだ。
MV=PY
M貨幣量
V貨幣流通速度
P物価
Y実質GDP
VとYは長期間で見れば一定ということにしています。
なぜ一定にしているのかというとわからないからです。
貨幣流通速度が一定でなければなりません。
では貨幣流通速度はどうなっているのか。
貨幣乗数理論なんかもこの辺から来てます。
てかYが一定なら成長しないんですけど。。。
貨幣が渡ってもその貨幣が貯蓄に使われたら死んだも同然です。
デフォルト(債務不履行)の可能性
はっきり言って自国通貨建ての債務での破綻は0です。
第三次世界大戦勃発して焼け野原にされるとか、海から巨大怪獣が来て焼け野原にされるなどの供給量が破壊されたらという話である。
デフォルトした国々を見てみましょうか。
まずみんな大好きジンバブエ
正確にはデフォルトではなく、ハイパーインフレ対策で法定通貨をアメリカドルにしたのと、破綻したのは国民経済なのだが。政府は破綻していない。
ムガベ政権のデタラメな政策により壊滅します。
もともとジンバブエは農業国家です。
その農地はほとんどが白人が所有、植民地時代からの流れによるもの。
ムガベ政権は白人から取り返すことにします。農地の再分配を目指したわけです。
土地収用法を成立、政府の決めた価格で収用することに。これに白人たちは猛反発し上手くいかず、2000年には退役軍人による農地の占拠が行われる。また、農業経験が全くない彼らに従事させる。食糧生産量が60%低下。
外交面でもその非民主的な農地分配政策により各国から非難。政府間経済協力の停止、IMFの融資などもない。
農地没収の2000年のインフレ率は56%で、2001年には132%。
生産能力喪失によるものである。
また株式強制譲渡といった政策もとった。
外国企業の株式50%をジンバブエの黒人に譲渡させなくてはならないというものだ。
そのせいで企業は撤退
ジンバブエの物資不足は加速されていきます。
そして政府はインフレ対策として価格統制政策をとります。
価格を半額にするというものです。
企業は生産するコストを売り上げで返済するわけですから、返済資金を調達できなければ倒産します。よって大量に倒産し生産がさらに減りインフレが加速します。
この倒産のサイクルを防ごうと財政支出で賄いさらにインフレが加速します。
この部分を取り上げて、貨幣を刷ったら日本でもハイパーインフレと騒ぐのでしょうか?
日本は供給不足が起きていますか?
コアコアCPIを見たらわかるが増税分を差し引けばデフレなのですが。
日本は供給過多ですけれども。。。
年金問題の何が問題なのか
年金問題とは
金が足りないという問題ではなく
実物リソースが不足することが問題なのだ。
それの対処は生産性の向上である。
高齢化問題の真の問題
高齢化問題は金銭の問題ではなく、生産性、実物資源確保できるかどうかの問題である。
医療システムのための設備と、システムを維持するノウハウを国が補償しなければならない。さらに生産性の伸びも大学やその他の研究機関から生み出されるものである。
それを金銭的な問題に置き換えられてしまい財政緊縮バイアスと重要インフラへの過少投資に繋がり、実物資源の基盤を壊し次世代が苦しむことになり問題はさらに悪化するのだろう。
生産者の一人当たり生産性を向上させる必要があるのだ。よく5人の現役世代が一人の老人を支えていたのが二人の現役世代で三人分の老人を支えると言われているが、この支えるとは金のことではなく、生産能力のことである。
*1:よくアベノミクス支持者として挙げられるクルーグマンとかスティグリッツは消費増税に反対しています。もはや主流派でもないバカが経済政策を動かしているのでは。
*2:ちなみに政府が黒字なのに財政破綻した国がある。それはアイスランドだ。アイスランドの政府債務対GDP比は28.5%しかなかった、さらに財政収支は黒字だった。なのになぜ破綻したか。それは民間部門の債務が膨れ上がってたのである。政府の赤字が増えないため民間部門が金融資産をプラスにするには国外から借りるしかない。アイスランドは他国の金で借金し民間経済を維持してきたその結果、GDP比で700%の外貨建ての借金を背負い事実上の破綻をした
*3:
ちなみに政府赤字は危険という考えが世の中の主流であり続け政治と国民が変わらなければ結局、社会保険料の負担やら増税やらはさせられるので結局ジジババになっても金は足りないと思います^^
さらに生産性が向上しなければ我々が老人頃にはサービスが受けられなくなったりで結局老後が不安定なことに変わりはありません。
つまり問題認識と対策案がズレまくってる今のままでいけば不安定なのは当然